【当事者の声】「まよいねこ」さんの運営・スタッフ経験談

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当事者の会を運営していて思うこと

 統合失調症の誤診がわかり、アスペルガー症候群と診断された後、紆余曲折を経て障害者採用で就職して仕事をしていたある日、ふと「自分と同じようなアスペルガー症候群の人たちと話し合う場がほしい」と思いました。「誰かのためになりたい」という気持ちではなく、「自分自身のために、当事者が集まる場所がほしい」と思ってのことでした。インターネット上には同じ障害の仲間が数人いましたが、顔を見て話せる、近い場所に住んでいる人たちに会いたいと思いました。そこで発達障害者支援センターのスタッフの方と相談し、信頼できて当事者会設立に関心を持つ人たちを紹介してもらい、数ヶ月かかってアスペルガー症候群成人当事者の会を発足させました。

 会のありかたなどに悩むことも多く、何度も当事者同士で会議と試行錯誤を重ねて3年くらい経ち、やっと安定したスタイルの月例会になりました。私と同じように「同じ悩みを持つ仲間に会いたい」と考えて参加してくださる方々が「居心地がよい」と言ってくださります。「雑談が苦手」という特性の人が多いため、月例会にはテーマを設けて話し合う時間があります。毎回、ためになる話が多く、共感できる話題もたくさんあります。「自閉症スペクトラムの人は共感能力がない」という俗説がありましたが、全くの嘘であることが、当事者会を作ってみて非常によくわかりました。意外なことに共通点があって「これも障害特性だったのか!」と驚いたことも何度かありました。何よりも、「当事者同士」というのは親や家族と接しているよりも気をつかわない、とても接していて気楽な人たちです。当事者だけで遊びに出かけたときなどは、定型発達者がそばにいるときには絶対に味わえない強い安らぎを感じます。

 運営スタッフは、今は私1人しかいません。過去に一度、運営スタッフが1人いた時期がありましたが、会議を重ねるうちに人間関係のトラブルに発展してしまい、その人は脱退してしまいました。体調が不安定な中、1人で当事者の会を切り盛りするのは本当に大変で、毎月「もうやめたい」と思います。月例会へも半分は義務感で参加していて、開催することがプレッシャーとしてのしかかり、苦痛が大きいです。ですが、何とか月例会の開催にこぎ着けると、参加者の皆さんはお菓子を持ち寄ってくれたり、「楽しみにしていた」「皆に話したいことがあって来た」と言ってくれたりするので、「来月も頑張ろう」と思えます。幸いにも、私と過去いた運営スタッフとの間以外に人間関係のトラブルが起こったことはないです。

 私を含めて経理ができる人がいないため、会費は一切無料です。会場も、障がい関連の団体ならば無料で貸すという市の施設を利用しているので、特に金銭的に困っていることはありません。

 最近は当事者の会主体でイベントを行ったり、当事者の会だからこそとイベントを外部から持ちかけてもらうこともあり、活動が充実してきています。当事者同士で共感し合える貴重な場であり続けるとともに、今後は自閉症スペクトラムの啓発活動もできるようになっていきたいと思っています。