自助グループ(Self Help Group、セルフヘルプグループ)とは、 生きていく上でのなんらかの困難や問題、悩みを抱えた人が、 同じような問題を抱えた人や家族、遺族らと自発的なつながりで結びついた集まりのことです。 このような人々のことを「当事者」と呼んでいます。
自助グループはセルフヘルプグループ、当事者会、自助会、患者会、家族会、遺族会、ピアサポートグループと呼ばれることもあります。 それぞれの自助グループが扱っている問題は、心身疾患・障害、アルコール等の依存症、セクシャルマイノリティ、犯罪被害、労働問題、ひきこもりなど多岐にわたります。 このような問題は、社会的マイノリティが抱えた問題であることが多いため、人前で話しにくかったり、話しても理解や共感を得られにくかったりします。
しかし、似たような問題を抱えた当事者同士ならば、互いの体験や考えに一定の理解や共感を示し、得ることができます。 自助グループで自分を受け入れてもらえて居場所を得ることが、やがて自分で自分を受け入れることにつながります。 そして自助グループへの参加を続けることで、時間はかかるかもしれませんが、受け入れがたい現実と向き合う力がついてくるのです。
なお、自助グループやセルフヘルプグループで言う「自助」や「セルフヘルプ」とは、自分の問題を人に頼らず自分だけで解決するという意味ではありません。 抱えている問題の自己責任が問われるものではありませんし、医療や福祉の制度を利用しないで自助努力するという意味ではありません。 ここで言う「自助」や「セルフヘルプ」は、 困難を抱えた当事者同士の関わりの中で自分の問題に向き合い、 自分の生き方を追求していくという意味を持っています。 「共助」や「互助」の中から「自助」を立ち上げていくこと、と言っていいかもしれません。
ある問題や悩みを扱っている集団を自助グループと判断できるかどうか。自助グループの明確な定義はありません。 以下に挙げたような点について、自助グループと判断できるかどうか人によって判断が異なるかもしれません。
自助グループポータルでは自助グループという集団を以下のようなものと考えています。 自助グループポータルは、この条件に該当しないグループの登録をお断りする場合があります。
多くの自助グループがメインの活動としてミーティング活動を行っています。 ミーティングでは当事者同士が集まって、悩んでいること、苦しんでいること、考えていること、思っていることなどを話します。 ミーティングの内容は自助グループによって様々ですが、 ほぼ共通するルールがあります。 ミーティングの形式としては以下のようなものが多いでしょう。
自助グループには、ミーティング以外にも以下のような様々な活動があります。 グループによっては、ミーティング以外の活動に力を入れている場合もあります。
当事者主体の活動には二つの方向性があります。一つは、問題への理解を社会に広げる啓蒙活動、政治への働きかけ等の外向きな活動です。 もう一つは、当事者同士の体験を分かち合うミーティング等に代表される内向きな活動です。 外向きな活動と内向きな活動はどちらも意義のある活動です。どちらに重点を置くかはグループのポリシーによって異なりますが、 自助グループポータルは内向きな活動に重点を置いています。
内向きなグループ活動の中にも二つの方向性を見ることができます。一つは、自分達の困難や障害を乗り越えたり、 回復(リカバリー)することを目指す方向性です。共にミーティングで自らの問題に向き合ったり、 リハビリをしたりして社会参加など向上的な目標を目指す活動がこれに該当します。 もう一つは、困難や障害に立ち向かわず向上的な目標を目指さない、ただ居ることが許される居場所やシェルターとしての方向性です。 ミーティングで愚痴を話したり雑談したり、一緒に食事やゲームするような活動が含まれます。 この二つは矛盾した方向性ですが、自助グループはこの両方の性質を持っています。 どちらに重点を置くかはグループのポリシーによって異なります。