ピアカウンセリングとは、仲間同士でお互いを支え合うピアサポートの手段のひとつで、 仲間同士のカウンセリングと言えます。 ピアカウンセリングの特徴は、 カウンセラー自身が当事者(経験者)なので相談者にとって親しみやすいことです。 カウンセラーは相談者に対して理解や共感を示しやすく、 相談者もカウンセラーが本当に理解と共感を示しているということを実感しやすくなります。 あくまでも一般論として言うと、「一般的なカウンセリング」と「ピアカウンセリング」の違いは以下のようなものです。
一般的なカウンセリング | ピアカウンセリング | |
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専門性 | 問題の専門家なので専門的な援助・相談が期待できる。プロとしてのカウンセリングのテクニックを持っている。 | 問題の専門家ではないので専門的な援助・相談は期待できない。カウンセリングのプロのテクニックは持っていない。 |
当事者性 | 問題の当事者(経験者)ではないので当事者としての理解や共感が期待できない。 | 問題の当事者(経験者)なので当事者としての理解や共感が期待できる。 |
もちろん、プロのカウンセラーでありながら当事者(経験者)である、という場合もあるので単純に上記の枠に 当てはめることはできません。そして、 一般的なカウンセリングとピアカウンセリングはどちらが良い、というものでもありません。 相談者の性格や考え方、抱えている問題や悩みによってどちらが良いかは違ってくるでしょう。 そしてそれ以前にピアカウンセリングかどうかに関わらず、カウンセラーと相談者の相性は重要な要素です。
尚、誤解されがちなことですが、 カウンセリングとはカウンセラーが相談者の問題や悩みにアドバイスすることではありません。 全くアドバイスしないという訳ではありませんが、カウンセリングは相談ではありません。 一般的なカウンセリングであってもピアカウンセリングであっても基本にあるのは傾聴です。 カウンセリングでは、相談者がカウンセラーに自分のことを話します。 カウンセラーはその話をする相談者に向き合い、その話の手助けをします。 その時に相談者は、話の中から自発的に新しい理解や洞察にたどり着き、 自らの問題や悩みに主体的に向き合っていけるようになるかもしれません。
カウンセリングの目的とは、 カウンセリングが終わった後に相談者が自らの問題や悩みに主体的に向き合っていけるようになることです。
※ここではカウンセリングを受ける人のことを便宜上「相談者」と書いていますが、 カウンセリング用語としては「クライアント(client)」と呼ぶのが一般的です。